書籍『チーム担任制』の発刊
※上記書影は、下記する当該書籍の紹介ページからの引用
当法人の理事・苫野一徳が、共著『チーム担任制』を執筆しました。さくら社より、2025年7月6日に発刊されています。
苫野は、担当した第6章「チーム担任制の意義を、教育の本質から考える」において、次のように記しています。
学校教育の本質は、すべての子どもに「自由の相互承認」の感度を育むことにある。そのためには、子どもたち自身が、尊重され、信頼され、承認される経験が重要だ。チーム担任制の最大の意義は、この尊重と信頼と承認の砦を、複数のおとなの存在を通して実現することにある。
〔前略〕重要なのは、チーム担任制であれ、行事のあり方や授業のあり方であれ、その最上位の目的は一体何なのか、そしてまた、その目的それ自体が十分に本質的なのかどうか、常に考え、対話し、合意を重ねながら学校づくりを続けていくことなのだ。 そのような対話を欠いてしまうと、チーム担任制にせよ何にせよ、先に見たような非本質的な理解が容易に広がってしまうことになる。実際、複数のおとなによって学級をしっかり統率するという共通関心をもってチーム担任制に取り組んでいる、あるいは取り組もうとしている学校は、残念ながら少なくないのが現状だ。教育委員会や校長から、有無を言わさぬトップダウンでチーム担任制を取り入れる、あるいは検討するよう要請された学校ほど、その傾向は顕著に見られるように思われる。上位の目的が、対話を通して明確化され、合意されるというプロセスを経ていないがゆえに起こってしまう問題だ。 だからこそ、本章では、そもそも何のためのチーム担任制なのか、その意義を改めて学校教育の本質から確認しておくことにしたいと思う。
ぜひ、お手に取ってご覧ください。
・書籍の出版社紹介ページ(さくら社公式ウェブ内)
以下、書籍紹介ページから引用
新時代の教育システム、始動! 「チーム(学年)担任制」それは大きな可能性を秘めた取組みです。教員の働き方や子どもとの接し方を変え、子どもの主体性を育む可能性をもつものです。学校という組織の在り方そのものを問い直し、未来へと向かう変革を起こす起爆剤となり得ます。本書は、従来当たり前とされてきた1学級に1担任=「学級担任制」という制度について、そして今静かに広まりつつある「チーム(学年)担任制」の可能性と課題について、骨太な実践者による記録と新進気鋭の教育哲学者による論攷から迫ります。
【もくじ】 はじめに
第1章「チーム担任制」とは何か……中西 茂 あいまいな仕組みと呼称 教員の働き方改革、生徒の主体性育む
第2章 チーム担任制の現場……中西 茂 校長が交代しても続ける 校長が異動した先で 自死きっかけ、再発防止策として 各地に広がるチーム担任制 校長交代で変わるのか、変わらないのか 自治体を挙げて取り組む
第3章 時代の変化に対応する公立中学校の挑戦……高橋幸夫 最上位目標『主体的に思考し表現する集団』 チーム担任制 生活指導改革 特別活動改革 生徒参画の学校改革 ICTの利活用によるスマートスクール化 時代の変化に対応する学校へ、さらなる高みを目指して
第4章 「新教育課程」3つの改革 常識を疑った小学校の軌跡……西門隆博 新教育課程とは~3つの改革~ 改革のきっかけと校長と教頭の苦悩 小学校の常識「学級担任は重要である」への疑問 生徒指導面での指摘と限界 小学校教員の働き方と新しい勤務制度の乖離 改革への道のり 新教育課程導入後の様子 「学校運営における組織的対応についての提言」の指摘とこれから
第5章 学校の課題を克服する全市一体での「チーム担任制」……永井初男 学校の現状を何とかしたい 「チーム担任制」のスタート(2020年度) 全小中学校で試行(2021~2023年度) 小学校での本格実施(2024年度) 校長が「チーム担任制」の成功の鍵を握っている! チーム担任制の質的向上に向けて
第6章 チーム担任制の意義を、教育の本質から考える……苫野一徳 目的それ自体を問い直す チーム担任制の広がりとその課題 対話の文化・仕組みをつくる これって一体何のためなんでしたっけ? 「対話の時間がない」について 児童生徒も参加する 校内研修に生徒が参加する 「自由の相互承認」の原理 「一般意志」の原理 教育の本質 チーム担任制の本質的意義