ScTN質問紙の概要
ScTN質問紙は、一般社団法人 School Transformation Networking(ScTN)が提供及び管理する、児童生徒の自己評価を回答方式とした主体的・対話的で深い学びのための意識・実態調査です。
本質問紙は、「ある教育の実践/政策は、どのような状態であれば公教育の本質(何のために在るのか)と正当性の原理(どう在れば『よい』のか)にかなうのか」ということを、教育学や心理学等の理論に基づき、質問項目とその体系という形で一定程度、具体化しています。
内容としては、大きく分けると、(1)主体的・対話的で深い学びを中心とした「学校教育の経験」とともに、(2)経験がもたらす「成長」としての「学びに向かう力」と「人間性」の育成状況、(3)経験と成長を通した「学校教育の成果の実感」を測ることができるようになっています。よって、現在の学びの在り方を、公教育の本質と正当性の原理にかなうよう、主体的・対話的で深いものに構造転換する支援ツールとして活用することができます。
以下は、内容の一例です。
※後述する三つの基本パッケージのうち、「ScTN質問紙ベーシック」に含まれる質問項目を表示しています。全ての質問項目は、こちらからご確認いただけます。 ※質問紙の作成過程における調査の結果は、こちらからご覧いただけます。 ※解説動画(ライブセミナー録画(2023年11月10日実施))は以下から、当日の投影資料はこちらから、主な質問への回答はこちらからご覧いただけます。
なお、ScTN質問紙は、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供しています。本ライセンスの条件に従う限り、誰でも、自由にご利用いただけます。
詳しくは、「よくある質問」をご覧ください。
ScTN質問紙の詳細
ScTN質問紙(主体的・対話的で深い学びのための意識・実態調査質問紙)は、学校や教育委員会をはじめとした学校教育の現場でニーズの高い、「主体的・対話的で深い学び」の実現状況を測るアセスメントとして開発をスタートしました。
具体的には、公教育の本質である「各人の自由及び社会における自由の相互承認の実質化」のため、「一般福祉(一般意志に基づく普遍福祉)」を正当性の原理とし、学習指導要領等が求める資質・能力や学習活動の実現に資するよう、教育学や心理学等の理論を根拠に体系化されています。
つまり、公教育は何のために在るのか(本質)、どう在れば「よい」のか(正当性の原理)という根本の土台を築き、関連する学術領域の知見と教育データを具体的な手だてや施策にまで結び付ける。
当法人が提唱する「哲学原理とエビデンスに基づいた実践/政策(P-EBP: Philosophical principles and Evidence Based Practice / Policy)」の考え方を具体化した事例の一つが、ScTN質問紙です。
ScTN質問紙による調査を通して、(1)児童生徒の主体的・対話的で深い学びを中心とした「学校教育の経験」とともに、(2)経験がもたらす「成長」としての「学びに向かう力」と「人間性」の育成状況、(3)経験と成長を通した「学校教育の成果の実感」を測ることができます。
先生方や学校管理職は、その結果を活用することで、データに基づいて児童生徒一人一人や集団への理解を深めるとともに、現在の学びの在り方を主体的・対話的で深いものに構造転換するための示唆を得ることができます。
また、教育委員会(学校設置者)は、調査結果はもちろん、質問紙に含まれる観点や質問項目をコミュニケーションツールとすることで、学校や地域との対話を通して必要な支援や条件整備等を考えることができるようになります。
参考文献 ・【公教育の本質・正当性の原理】苫野 一徳(2011).どのような教育が「よい」教育か 講談社 ・【公教育の本質・正当性の原理・P-EBP】苫野 一徳(2022).学問としての教育学 日本評論社