コードタクト10周年記念対談「哲学とテクノロジーの融合により『よい』教育の実現を目指す」の掲載
授業支援クラウド「スクールタクト」等の提供事業者であるコードタクトの10周年記念サイトに関連して、当法人の理事・苫野一徳の対談記事が公開になりました。
「哲学とテクノロジーの融合により『よい』教育の実現を目指す」というタイトルにて、コードタクト代表の後藤正樹氏と、対話による合意形成の重要性や多様な人々が共に学び合う未来の学校像について語り合った内容です。
哲学とテクノロジーの融合により「よい」教育の実現を目指す|コードタクト
熊本大学大学院 教育学研究科・教育学部准教授の苫野一徳氏は、哲学者・教育学者として、過去の哲学者が考え進めてきた「自由の相互承認」や「一般意志」の原理を教育の文脈に応用し、広く提示したことで知られています。 この教育原理とも言える哲学的な土台はスクールタクトの設計理念のベースとなっています。 この度コードタクトの10周年を記念し、対話による合意形成の重要性や、多様な人々が共に学び合う未来の学校像について、弊社代表の後藤と深く語り合いました。 教育は何のためにあるのか 苫野:哲学とは、物事の本質を徹底的に考え抜き、それにまつわる問題を根本から解き明かす学問です。2,500年以上にわた
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コードタクト 10周年記念サイト
コードタクト設立10周年。『学び』を革新し、誰もが自由に生きる世界を創る。これまでの軌跡と未来への想いをお伝えします。
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本記事内では、苫野と山口(当法人代表理事)の出会いに触れつつ、ScTN質問紙とスクールタクトの関係についても言及されています。
苫野:私の哲学を最初に「使える」と言ってくれた山口さん(苫野氏が理事をつとめる「一般社団法人 School Transformation Networking」の代表理事)との出会いは、2008年ごろに書いた「どのような教育が『よい』教育か」(『RATIO』第5号、講談社)という論文を、当時、自治体の教育行政に携わっていた山口さんが読んでくれたことに始まります。 苫野:後藤さんもおっしゃったように彼は「行政に携わる人間は、何万人もの子供に関わる影響力に恐怖があるが、苫野さんの原理を知ることで指針ができ、ブレがなくなった」と言ってくれました。 これは、私が考えてきた原理が理解され、さらには実際に教育現場で活用してくれる人がいるとわかったありがたい出来事でした。 苫野:山口さんは例え話として「5 + 6 = 11 とすぐに計算できるのは、加法の原理を知っているからだ。それと同じように、自由や自由の相互承認、一般意思、一般福祉といった抽象的な原理を知っていれば、何が行政の最適解かをきちんと考えられるようになる」と話してくれました。 この言葉を聞いた時に、「なるほど、原理とはそうやって使えるものなのか」と、私自身発見がありました。
後藤:そうですね。教育の原理を広く社会に浸透させるためには、教育に携わる人々に理解してもらうアプローチが必要ですが、私はシステムによって教育原理を理解せずとも自然と望ましい行動が促される「アフォーダンス」的な場作りが実現できると考えています。 例えばスクールタクトを使うことで自然と良い学びの場を作り、学びの質を転換させる仕組みを作りたいと考えているのです。 苫野:同様に、ScTN質問紙も抽象的な原理を文科省のフレームに合わせて具体化し、教員が扱いやすい形にした例ですね。 スクールタクトやScTN質問紙は、教育原理を具現化したツールの代表だと思います。 後藤:私たちは新しい機能開発を行う際に、それがScTN質問紙のどの部分を補強するのかというマッピングを行っています。 流行りとして自由進度学習を取り入れてみたものの、本来の目的が抜け落ちているので失敗してしまったという話もよく聞きます。スクールタクトを通じて、目的が不明瞭でも良い教育が実践できる仕組み作りを進めたいと考えています。
このようにスクールタクトは、自由と自由の相互承認、一般福祉という教育原理を具現化するものでもあります。ScTN質問紙とともに、当法人が提唱する「哲学原理とエビデンスに基づいた実践/政策(P-EBP: Philosophical principles and Evidence Based Practice / Policy)」のエコシステム/協働ネットワークを構築するツールでもあるということです。
ぜひ、ご覧ください。
P-EBP
哲学原理とエビデンスに基づいた実践/政策(Philosophical principles and Evidence Based Practice / Policy)は、一般社団法人School Transformation Networking(ScTN)が提唱する、教育の実践/政策をよりよく確かなものにするための考え方です。
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