名古屋市教育委員会の「令和6年度 特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業(文部科学省)」に関する成果資料の紹介
当法人では、名古屋市教育委員会の「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業(文部科学省)」に関する取り組みを、令和5・6年度の2年間に渡って支援させていただきました。
このたび、本事業の令和6年度の成果資料が公開されたましたので、ご紹介します。
・令和6年度 特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業について(文部科学省公式ウェブ内)
名古屋市教育委員会では、本事業における研究テーマを「一人一人の個に応じた学びを支える『緩やかな協働性』の創り手となる児童の育成とカリキュラムデザインの研究」とし、実証研究協力校において、週に5~10時間程度、児童が「いつ学ぶか」「何を学ぶか」「どこで学ぶか」「どのように学ぶか」を自分で選択する複数教科同時進行型の自由進度学習に取り組みました。
本取組みの成果について、「研究成果報告書」では、以下のように解説されています。
<成果> イエナプラン教育の活動(対話、遊び等)やアドベンチャープログラムを参考とした学級づくりの実践や自由進度学習を中心とした授業実践によって、子どもたちの自己選択の機会が最大化され、自己決定で貫徹するという「まず自由ありき」の環境構成や条件設定がなされていた。そのため、子どもたちは臆することなく自分らしさを発露することができるようになった。その上で、教員による対話の促しや足場かけが行われることで、互いの自分らしさを認め合うことができるようになり、子どもたちが学級内において「緩やかな協働性」を自ら創っていくことができていくことが分かった。 この成果を横展開できるようにまとめられたものが、「多様性を包摂する学校教育の在り方モデル」である。このモデルを参考にしながら学級経営を行っていくことで、全ての子が自分らしさを発露できることにつながると考える。
課題については、以下のように解説されています。
<課題> 自由進度学習に代表されるような個別最適な学びが孤立した学び、「場は共にしていても、思考は共にしていない」状況となっていることが研究協力校でも見られたことが課題である。その課題を克服するための一つの方策として、研究協力校の授業実践の好事例から、「学習指導において個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を成立させる3条件」を明らかにすることはできた。その3条件を意識しながら学習指導を実践し、積み重ねていくことで、全国の自治体と一緒に解決していくべき課題だと考える。
なお、「報告資料」では、ScTN質問紙の結果や、教員に対するインタビュー等をM-GTA(Modified Grounded Theory Approach、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)によって分析した結果も掲載されています。後者は、<成果>で言及されている「多様性を包摂する学校教育の在り方モデル」のことです。
さらに、<課題>で言及されている「場は共にしていても、思考は共にしていない」状況と、その克服のための3条件については、雑誌『信濃教育』(1659号)にご掲載いただいた「【AIによるインタビュー】学びの構造転換の、その先へ――単元内自由進度学習の成果と課題から考える、これからの授業研究への期待」においても解説されています。
昨年度の成果資料と合わせ、ぜひ、ご覧ください。
・研究成果報告書(pdfファイルへの直接リンク、文部科学省公式ウェブ内)
・研究成果報告(初等中等教育局教育課程課、YouTubeチャンネル)
・報告資料(pdfファイルへの直接リンク、文部科学省公式ウェブ内)
・(参考:当法人公式ウェブ内ニュース)雑誌『信濃教育』1659号における巻頭提言「【AIによるインタビュー】学びの構造転換の、その先へ――単元内自由進度学習の成果と課題から考える、これからの授業研究への期待」の掲載
・(参考:当法人ウェブページ内ニュース)名古屋市教育委員会の「令和5年度 特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業(文部科学省)」に関する成果資料の紹介